いやぁ、今年も秋だなぁ。
ということで、9月の番組は『自然からの贈りもの』がテーマ。番組のメインアイテムとなるキノコをもとめて琴浦町某所に出かけた。別に場所を秘密にするわけじゃないけど、土地所有者をはじめ関係各方面に迷惑がかかるといけないから、やっぱり秘密なのだ。
とりあえずのターゲットはイクチ。正式にはイグチ科のヌメリイグチ(たぶん)。イグチ科のキノコはかなりたくさん種類があるから、100%確信があるわけじゃないけど、ま、美味けりゃ名前は気にならない。このあたりではイグチではなくイクチと呼ぶことが多いようだ。
ヌメリイグチはその名の通り傘の表面がぬるっとしているのが特徴で、裏側はイグチ科のキノコ特有のスポンジ状。色は茶系いろいろ。美味。小ぶりの松の木がある所にしか生えないという頑固な面を持っている。
年配の方の中には「昔は秋になると、畑の横の松林に生えてきて、よ〜食ったいなぁ」と懐かしがる人も多いかな。
僕も、子どもの頃、採って帰ると親に喜ばれるので、今頃の時期になると、イクチを探しにたびたび山に行ったのを覚えている。
でも今では松林自体が、マツクイムシとか開発でほとんどなくなってしまっているから、イクチの顔も拝めなくなってしまっている。
最近では、松の苗木が植えられるのは公園とか道路の法面など公共工事関係の場所に限られてしまっているようだ。
▲ヌメリイグチ
イクチに限らず、山でキノコを探すときは専用の“キノコ眼”にならなければなかなか見つけられない。
この“キノコ眼”になるには条件があって、とにかく「見つけて食ってやるぞ〜」という固い決意が求められる。
イクチの場合、わりとはっきりした色なので、見つけるのは比較的簡単だが、それでも落ち葉やカヤで隠れていることが多く、やっぱり“キノコ眼”が必要になる。はずなんだけど、現場について、ちらっとあたりを見回したらすぐに数本が目に入った。
そこの場所は落ち葉・雑草関係が少なく、傘の色がそのまま見えるから、これまでキノコ採りではいつも“へなちょこ”だった谷口隊員でさえ何本も見つけて、採った。
生息条件がイクチと同じアミタケ(イグチ科)とハツタケ(ベニタケ科)も見つかった。 アミタケはヌメリイグチとよく似ているが、小形のものが多く、熱を通すと赤紫色になって強いぬめりが出るのが特徴。とても美味。
▲アミタケ
▲ハツタケ
ハツタケはこのあたりではアイタケと呼ばれており、毒々しい色に似つかわしくない、これまた美味しい味を備えている。
くねくねした途中の崖に、素晴らしく美しい赤茶色のキノコが生えていたのだ。
ん?表現が陳腐すぎるぞ。そ〜だなぁ…鹿鳴館に通う派手目の貴婦人が、踊りの誘いを待っているような感じで佇んでいた、くらいかな…う〜む、わけがわからん。
ま、その辺はどうでもいいけど、ロケに参加した隊員全員から一斉に「オーッ」という歓声があがった。
彼女の名は『タマゴタケ』。図鑑を見ると、夏から秋にかけてシイやナラ、ブナなどの樹の下に生えて菌根をつくる、とある。
▲タマゴタケ
テングタケ科で汁や鍋にすると、旨みのあるダシが出てかなり美味いらしいが食ったことはない。少し小ぶりの鶏卵の形をした幼菌が、大きくなると自ら鶏卵の殻を破り、キノコ形になっていくという。
タマゴタケはよくキノコ図鑑の表紙を飾っていたりする。つまり、言うなればキノコ界のグラビアアイドル。イクチやハツタケはどう見てもバイプレイヤーだから、やはりアイドルは輝いて見えた。
そう言えば僕が小学生の頃は、山栗を茹でておやつ代わりに食べていた。まだ鬼皮が青い栗の渋を親指の背でこそげ取り、ゴリゴリかじることもあった。
生でもそこそこ甘かったが、茹でると一層甘くなった。お菓子を好き勝手に食べられる時代ではなかっただけに、子どもが自分で調達できるおやつはありがたかった。
今は、道ばたに栗が落ちていたり、紫色に熟れたアケビが口を開けていても、子どもどころか大人さえ見向きもしない。ま、キノコは、誰もが採れる環境にあるわけではないし、食毒の判別のこともあるから無理かもしれんけど。
でも、つまらんよなぁ。調理や始末が少しぐらい面倒でも、食べないけんわなぁ。自然からのせっかくのプレゼントなのに。
『恵みの秋』−−−−こんな素敵な言葉を大切にせんけ、台風とか地震とか竜巻とか、自然からソッポを向かれるんだよなぁ…きっと。
ということで、9月の番組は『自然からの贈りもの』がテーマ。番組のメインアイテムとなるキノコをもとめて琴浦町某所に出かけた。別に場所を秘密にするわけじゃないけど、土地所有者をはじめ関係各方面に迷惑がかかるといけないから、やっぱり秘密なのだ。
とりあえずのターゲットはイクチ。正式にはイグチ科のヌメリイグチ(たぶん)。イグチ科のキノコはかなりたくさん種類があるから、100%確信があるわけじゃないけど、ま、美味けりゃ名前は気にならない。このあたりではイグチではなくイクチと呼ぶことが多いようだ。
ヌメリイグチはその名の通り傘の表面がぬるっとしているのが特徴で、裏側はイグチ科のキノコ特有のスポンジ状。色は茶系いろいろ。美味。小ぶりの松の木がある所にしか生えないという頑固な面を持っている。
年配の方の中には「昔は秋になると、畑の横の松林に生えてきて、よ〜食ったいなぁ」と懐かしがる人も多いかな。
僕も、子どもの頃、採って帰ると親に喜ばれるので、今頃の時期になると、イクチを探しにたびたび山に行ったのを覚えている。
でも今では松林自体が、マツクイムシとか開発でほとんどなくなってしまっているから、イクチの顔も拝めなくなってしまっている。
最近では、松の苗木が植えられるのは公園とか道路の法面など公共工事関係の場所に限られてしまっているようだ。
◇ ◇
イクチはすぐに見つかった。それもそのはず、ロケ(9月22日)の数日前に、生えている場所を見つけて、個人的にイクチ採取のリハーサルをしておいたのだ。リハーサルのあと仕方なく食べたけどやっぱり美味かった。▲ヌメリイグチ
イクチに限らず、山でキノコを探すときは専用の“キノコ眼”にならなければなかなか見つけられない。
この“キノコ眼”になるには条件があって、とにかく「見つけて食ってやるぞ〜」という固い決意が求められる。
イクチの場合、わりとはっきりした色なので、見つけるのは比較的簡単だが、それでも落ち葉やカヤで隠れていることが多く、やっぱり“キノコ眼”が必要になる。はずなんだけど、現場について、ちらっとあたりを見回したらすぐに数本が目に入った。
そこの場所は落ち葉・雑草関係が少なく、傘の色がそのまま見えるから、これまでキノコ採りではいつも“へなちょこ”だった谷口隊員でさえ何本も見つけて、採った。
生息条件がイクチと同じアミタケ(イグチ科)とハツタケ(ベニタケ科)も見つかった。 アミタケはヌメリイグチとよく似ているが、小形のものが多く、熱を通すと赤紫色になって強いぬめりが出るのが特徴。とても美味。
▲アミタケ
▲ハツタケ
ハツタケはこのあたりではアイタケと呼ばれており、毒々しい色に似つかわしくない、これまた美味しい味を備えている。
◇ ◇
ロケが一番盛り上がったのは、場所移動で東高尾のくねくね山道を走っていたときだった。くねくねした途中の崖に、素晴らしく美しい赤茶色のキノコが生えていたのだ。
ん?表現が陳腐すぎるぞ。そ〜だなぁ…鹿鳴館に通う派手目の貴婦人が、踊りの誘いを待っているような感じで佇んでいた、くらいかな…う〜む、わけがわからん。
ま、その辺はどうでもいいけど、ロケに参加した隊員全員から一斉に「オーッ」という歓声があがった。
彼女の名は『タマゴタケ』。図鑑を見ると、夏から秋にかけてシイやナラ、ブナなどの樹の下に生えて菌根をつくる、とある。
▲タマゴタケ
テングタケ科で汁や鍋にすると、旨みのあるダシが出てかなり美味いらしいが食ったことはない。少し小ぶりの鶏卵の形をした幼菌が、大きくなると自ら鶏卵の殻を破り、キノコ形になっていくという。
タマゴタケはよくキノコ図鑑の表紙を飾っていたりする。つまり、言うなればキノコ界のグラビアアイドル。イクチやハツタケはどう見てもバイプレイヤーだから、やはりアイドルは輝いて見えた。
◇ ◇
番組では、キノコの他に、まだ青い山栗を採って、無理やり剥いて食べた。さすがに少し青臭かったが、なんとも懐かしい味がした。そう言えば僕が小学生の頃は、山栗を茹でておやつ代わりに食べていた。まだ鬼皮が青い栗の渋を親指の背でこそげ取り、ゴリゴリかじることもあった。
生でもそこそこ甘かったが、茹でると一層甘くなった。お菓子を好き勝手に食べられる時代ではなかっただけに、子どもが自分で調達できるおやつはありがたかった。
今は、道ばたに栗が落ちていたり、紫色に熟れたアケビが口を開けていても、子どもどころか大人さえ見向きもしない。ま、キノコは、誰もが採れる環境にあるわけではないし、食毒の判別のこともあるから無理かもしれんけど。
でも、つまらんよなぁ。調理や始末が少しぐらい面倒でも、食べないけんわなぁ。自然からのせっかくのプレゼントなのに。
『恵みの秋』−−−−こんな素敵な言葉を大切にせんけ、台風とか地震とか竜巻とか、自然からソッポを向かれるんだよなぁ…きっと。